Friday, December 26, 2014

クラピッシュ監督『ニューヨークの巴里夫』(In Japanese)

フランス人監督セドリック・クラピッシュ(Cédric Klapisch)の「青春三部作」の最終作、『ニューヨークの巴里夫』(英: Chinese Puzzle, 仏: Casse-tête chinois)が、12月の6日からBunkamuraル・シネマで放映開始となった。もし自分が今日本に居るのなら、ぜひ映画館に足を運んで見たい作品の一つである。本作は2013年にフランスでは封切りとなった映画で、2002年の『スパニッシュ・アパートメント』(英: Spanish Apartment, 仏: L’auberge espagnole)と2005年の『ロシアン・ドールズ』(英: Russian Dolls, 仏: Les Poupées russes)の三部作の最終作という位置付けになっている。フランス、イギリス、ベルギー、アメリカの合作であり、世界各国の都市を跨いで撮影されたという国際的な映画の連作であると言えるだろう。三作ともに共通するのは、異文化と恋愛という二つのテーマである。もちろん、その他のにも、コメディ映画としてのユーモアなども見どころである。



この連作は、世界中の都市で撮影されているということもさることながら、出演者が豪華であるということも一つの見どころである。主演は、『PARIS』(2008)や『ムード・インディゴうたかたの日々』(仏: L'Écume des jour) (2013)で有名なフランス人俳優のロマン・ドリス(Romain Duris)である。ドリスは、自分のお気に入りの俳優さんであり、『PARIS』などで演じたシリアスな役から、2010年の『ハートブレイカー』(仏: L’arnacœur)などで演じたような少しおチャラけた役など、幅広くこなすことのできる今引っ張りだこの役者である。それに加え、2001年の『アメリ』(仏: Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain)や2006年の『ダヴィンチ・コード』に出演している、世界的に言わずと知れたフランス人女優のオドレー・トトゥ(Audrey Tautou)も出演している。その他、この連作でセザール賞を受賞しているベルギー出身のセシル・ドゥ・フランス(Cécile De France)や『シャーロック・ホームズ』にも出演しているケリー・ライリー(Kelly Reilly)など豪華出演者が名を連ねるのがこの三部作である。今回の最終作では、カナダ人モデルのサンドリン・ホルト(Sandrine Holt)がフランスの演じるイサベル(Isabelle)の同性愛者の同居人として出演している。また、Brefという短めのフランスのテレビ番組の主演のカイヤン・コジャンディ(Kyan Khojandi)がちょっろっと出てくるあたりなどが個人的にツボである。

第一作目の『スパニッシュ・アパートメント』では、ドリスの演じるザヴィエがエラスムス・ムンドゥスの奨学生として、スペインのバルセロナで経済学を勉強しに行くという話である。ザヴィエはヨーロッパ各国から来た留学生と共にアパートメントをシェアすることになる。日本でのプロモーションで使われていたキャッチコピーの「ひとつのアパートに七つの国の青春」の通り、そのアパートの住人は全員違う国出身で、違う言語話者という国際的な空間に居心地の良さを感じるザヴィエ。母国フランスに置いてきたトトゥ演じる彼女のマルティンヌとは次第に心が離れていく。コメディーテイストなのは終始変わらず、バルセロナという異文化空間で奔走するザヴィエの青春の物語。
個人的には、第一作目が一番印象に残っている。その理由の一つに、この映画を見たのが自分がオレゴン大学に留学していた時に見たからだ。アメリカとスペインで国は違えど、なんとなくザヴィエに自分を重ね合わせて見たというのが大きな理由だろう。異文化や言語の壁で苦労した経験が、よりこの映画を印象的にしたのかもしれない。
第二作目の『ロシアン・ドールズ』では、スペインでの学生生活から5年後の話である。小説家になるために執筆活動を続けるザヴィエは、バルセロナでかつて住まいを共にしたイギリス出身のライリー演じるウェンディーと一緒に働くことになる。パリとロンドンを往復しながら多忙な日々を続けるザヴィエは、ウェンディーと次第に親密な仲になっていく。


そして、第三作目の『ニューヨークの巴里夫』では、40歳になったザヴィエがニューヨークで奔走するという物語である。ニューヨークにいる間、精子提供や偽装結婚など、おそらくほとんどの人が経験しないであろうことを経験するザヴィエ。人生の複雑さがある種、この映画のテーマである。異文化と恋愛の「青春三部作」の最終作として、ザヴィエという人間の人生の奇想天外さ垣間見れる物語となっている。(あまり喋るとネタバレになるのでこの辺で・・・笑)ちなみに、ザヴィエとウェンディの間には、トムとミアという二人の子供がいるのだが、この長男のトムが随所で見せる、大人のような配慮や子供ながらの可愛さが個人的にこの映画の好きな点である。
現在、自分がアメリカに留学しているという状況や年齢を考えると、やはり『スパニッシュ・アパートメント』のザヴィエに自己投影をしてしまう自分がいる。20年後には、自分はザヴィエのような奇想天外な人生を歩んでいるのだろうか。『ニューヨークの巴里夫』は、そんなことを問いたくなる、映画であった。ぜひご覧あれ。

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